これ、野菜を使ったお寿司です!ケーキのようなVEGESUSHI(ベジ寿司)が海外でブーム。hoxai kitchen(ホクサイキッチン)【市角壮玄さんインタビュー】【Vegewel特典】

更新日:2019/02/01 公開日:2017/10/22

日本から遠く離れたパリやベルリンで話題になっている、アートのような野菜寿司があります。その名も「VEGESUSHI(ベジズシ)」。

既存の寿司の枠にとらわれず、日本の食文化を多くの人に味わって欲しいと生まれた新しい日本食です。

アートと食の融合、VEGESUSHIが生まれた経緯を、クリエイター集団「hoxai kitchen(ホクサイキッチン)」の市角壮玄(いちずみそうげん)さんに伺いました。

最後にVegewel特典がございますのでお楽しみに!

パリジェンヌもため息が出る、魅惑のお寿司。


トマトソースでほんのり色づいた酢飯。まいたけのソテーがトマトと一緒にドレスアップされているかのよう。

食に関わる仕事をしていると、食事に対して感動をする場面はいくつかの種類に分かれると感じる時があります。

1つめは、単純に味が美味しいこと。

2つめは、見た目の美しさ・香りなど瞬間的に心を奪われるもの。

3つめは、その食事の背景にあるストーリー。例えば、作物の育った過程やそのメニューの誕生の背景、料理人の思いに触れた時です。

VEGESUSHIはこの3つを全て兼ね備えていると思うのです。


VEGESUSHIとは、野菜のみで作られた、ケーキのように取り分ける鮮やかな押し寿司です。

旬の野菜の彩りだけではなく、古代米や玄米などの色がついた米を使うことで、より華やかな見た目になっています。


VEGESUSHIは、2016年にルイ・ヴィトン財団が管理するパリの公園「Jardin d’Acclimatation」で行われたイベントで初披露となりました。

以降、ベルリンや日本のワークショップ・ホームパーティーの中で楽しまれています。


VEGESUSHIを製作しているのはクリエイター集団の「hoxai kitchen」。

メンバーは、フードデザイナーのGenこと市角壮玄さん(写真中央)、ベジタリアンシェフのKeiさん(写真右)、野菜ソムリエのJunさん(写真左)の3人です。

VEGESUSHIを思いついた市角さんが、「寿司にクリエイターの視点を入れたら面白いかな?」と、食と海外に対する意識が高い2人に声をかけたのが始まりでした。

「リスペクトされているのに…」だった日本食を土地柄に合わせることでパーティの主役に。


VEGESUSHI誕生のきっかけは、市角さんがヨーロッパ滞在中に感じた、「外国人から見る日本食」です。

「ヨーロッパでは、ポットラックパーティがすごく盛んです。

参加者は南米のマテ茶を入れてくれたり、スペインのお母さんのスパニッシュオムレツにイタリアのサンドイッチなど、それぞれの背景やストーリーを持ち寄ってくる。

それを押しつけたり、どっちの文化が優れていると言わずに、『お前のとこのおいしいよ』と、地元のものを褒め合うんです。

そこに”日本食が参加しきれてないかも。”と感じたんです。それはなぜか?

日本食には、みんなが食べられる食材が少ないんです。特に寿司の場­合、ヨーロッパでは生魚が食べられない人が多い。

ヨーロッパは内陸で、おいしい魚が手に入りにくいからです。オイルサーディンやスモークサーモンのようなものはあるのですが。」

ホームパーティーの多いヨーロッパで、100%みんなが楽しめるというわけではない日本食の現状。

一方で、市角さんが感じたもう1つの「外国人から見る日本食」。それは日本食・日本文化へのリスペクトでした。

市角さんはどういうところでリスペクトを感じるのでしょうか?

「ベルリンにはストリートフードが集まるお祭りがあって、”おにぎらず”や”たこ焼き”、”お好み焼き”といった日本食が飛ぶように売れていますね。

日本食レストランは価格設定が高めのところも多いです。

スーパーマーケットでは味噌や梅酢、ひじきが当たり前のように売っています。

だしの味がわかるのは決して日本人だけではありません。添加物が多い食事をしている日本人よりも、もしかしたら彼らのほうが味覚が繊細だったりする。笑」

「これだけリスペクトされている日本食を、もっと多くの人に食べてもらえないだろうか。」と感じた市角さん。

ヨーロッパは土壌が良く、味が濃くておいしい野菜が多い。どのレストランにいってもベジタリアンメニューがある。

「野菜ならあらゆる信条や宗教的戒律を越えてすべての人が同じ食卓を囲むことができる。」という気づきからVEGESUSHIの発想が生まれました。

海外の人は酢飯が大好き!誰もが食べられる美味しいVEGESUSHI


気になるのはVEGESUSHIへの海外の方の反応です。

「まず、寿司っていうだけで興味を持つ。そして、生魚じゃないっていうだけで反応がいい。

海外の人は酢飯がほんとに好きだなって思いますね。我々がこだわっているピザ屋のピザ生地にリスペクトを払うような気持ちなのかな?」


国によって反応が違うのも面白いところで、

「フランス人の場合、野菜だとわかった瞬間に警戒せず飛びついてくれることが多いです。

主催者からも、『こんなに反応がいいのは初めて!生魚じゃなくて、野菜だからじゃない?』と言われましたね。

自分にとって、食べても問題がないものは食べやすい。

ドイツ人はこれはビーガンなのか?どういう背景と文化なのか?とまず納得してから食べる人が多いです。」

言葉のいらない表現法、アートも料理も実は一緒だった。素材の良さ、持ち味を伝えるクリエイターという仕事。


hoxai kitchenは、拠点をあえて持たず、ベルリン・パリ・京都・東京を行き来し活動しています。

互いの文化を横断することで、両方向の視点からVEGESUSHIを発信したいと考えているからです。

VEGESUSHIは、日本人にはヨーロッパのベジやビオのカルチャーを伝え、ヨーロッパの人には日本の食を伝えています。同じ1つのものでも、受け取る側によって伝わるものが違う、というのもVEGESUSHIの魅力です。

それは、VEGESUSHIがアートとしても確立しているからではないでしょうか?アートも食も言葉がいりません。それぞれが必要なことを感じて楽しむものです。


「紅葉にんじんの雪隠れ寿司」

薄くスライスした大根のなますから人参か透けて見え、絵画のようです。

このVEGESUSHIは、透ける紙を重ねて向こう側の文字が見えるようにする、アートの手法から生まれました。

アートと融合した日本食、VEGESUSHI。

素材の持ち味を引き出し、その良さを伝えるのはアートも料理も一緒ですね。

分野が違うので一見変わっているように思いますが、アートクリエイターが料理をするのは、不思議なことではないのかもしれません。

VEGESUSHIを異国発の日本食メニューとして確立したい。食文化を作るということ。


国境を越えたVEGESUSHI。これからどう広がっていくのでしょうか?

「VEGESUSHIを、誰もが楽しめる定着したカルチャーにしたい。お好み焼きやたこ焼きみたいに、VEGESUSHIという日本食のメニューができたらいいなと思ってます。

日本で食べてるカレーやラーメンは原地のものと違いますよね。ヨーロッパ発の寿司ができてもいいはずなんですよ。

南米では「テマケリア 」というファストフード形式で手巻き寿司が楽しまれているんです。」


hoxai kitchenが、あくまでワークショップを中心に活動しているのも、文化としてみんなでVEGESUSHIを作ることを楽しんで欲しいからです。

ワークショップではたくさんの野菜から好きな具材を選び、押し器に並べていきます。周りの人と話しながら、出来上がりを想像して野菜を並べるのはとても楽しい時間です。


「お互いの食文化を行き来しながら、架け橋として活動していきたいです。」

そう話してくれた市角さん。

今後アート・レシピ本「VEGESUSHI パリが恋した、野菜を使ったケーキのようなお寿司」の英訳が決定!

11月にはベルリンで100名規模のワークショップイベント、その後アメリカでもワークショップが決まっているそうです。

新たな日本食ブームがどんどん広がっていくのが楽しみですね!

Vegewel特典

ここでVegewel読者の方へ特典がございます!

近日東京で行われるVEGESUSHIワークショップが、お会計時に「Vegewelを見た」と言うと10%OFFになります!

今回のワークショップは開催場所も魅力的!

地元の人がアンバサダーとなり旅人とボーダーレスに交流できる、「浅草WIRED HOTEL」や、大手町の新感覚の参加型旅行案内所「TRAVEL HUB MIX」が会場となります。

参加者同士でどんなVEGESUSHIを作ろうか相談するのもまた楽しいですよ!ぜひ足を運んでみてください。

【ワークショップ日程】
10月27日〜28日
「Wired合宿×VEGESUSHI:Make my Community」
https://www.facebook.com/events/130371854376787/?ti=icl

10月29日
「Work shop!!VEGESUSHI×MENTORING=新たな自分に出会う旅」
TRAVEL HUB MIX
http://travelhubmix.com/programs/333.html

10月29日
「WIRED HOTEL×VEGESUSHI Workshop」
https://www.facebook.com/events/1735560326746952/?ti=icl

【hoxai kitchen】
フードデザイナーのGen、ベジタリアンシェフのKei、野菜ソムリエのJunからなる3人組。寿司をアートの表現方法と捉え、パーティーを華やかにするVEGESUSHIを制作。パリやベルリンなどの欧州の都市で活動し、既存の寿司の枠にとらわれないアイデアを発信している。NHKや有名グルメ誌で取り上げられるなど、日本での活動も目覚ましく、東京・京都・大阪など各地でワークショップや企業向けケータリングパーティーを行なっている。

VEGESUSHI by hoxai kitchen
http://vegesushi.eu

【今後の活動予定】
10月中に全米でnet filix、travel channelで放送予定。

【hoxai kitchen関連書籍】
「VEGESUSHI(ベジ寿司) パリが恋した、野菜を使ったケーキのようなお寿司 (veggy Books)」キラジェンヌ出版

Vegewelでレストラン検索


Vegewelは、ベジタリアン・オーガニック・グルテンフリーなど、あなたの食のライフスタイルに合わせてレストランを検索できるWebサイトです。

食の制限に関係なく、みんなで楽しく食事を囲める環境を日本に創るために、サービスを運営しています。

日本語と英語に対応、ヘルシーなレストランが1000店以上掲載されていますので、ぜひご利用ください!

岩田 絵弥曄 / Emika Iwata

岩田 絵弥曄 / Emika Iwata

ヴィーガンフードアナリスト®︎
ベジタリアン・ビーガン・グルテンフリーなどヘルシーな食のフードライターとして活動。 保育士経験から子供たちの未来を守るため、オーガニックや自然栽培など食の安全にも取り組む。インバウンド対策やアレルギー・環境問題から、ヴィーガンに関するセミナー等も開催。自身も10年以上のヴィーガン。 メディア出演:The Japan Times、日テレ「人生が変わる1分間の深イイ話」、チバテレビ「ジャルっと爆ハリ」等。